Q.保険診療による収入の振込は、請求月から2ヵ月後となりますが、その収入の計上時期はいつですか?また、確定申告で注意することはありますか?

A.収入の計上時期は、2ヵ月後の入金時ではなく、原則として診療行為が完了した時点となります。
したがって、12月末時点でまだ未入金の11月分・12月分の保険診療収入も当年の収入として計上しなければなりません。

POINT

基本原則:発生主義に基づく計上

歯科医院の会計では、現金主義ではなく発生主義に基づいて収入を計上します。つまり、患者さんから現金を受け取った時点ではなく、診療行為を実施した時点で収入として計上する必要
があります。
保険診療の場合、患者さんから自己負担金を受け取るのは診療後ですが、保険者(健康保険組合など)からの請求は後日になります。しかし、収入計上のタイミングは、診療を実施した月
となります。

収入について

保険請求の収入計上時期

自費等の収入計上時期

医療廃棄物等の売却収入

車両の売却収入

査定増減の取扱

窓口収入を免除したときの取り扱い

窓口収入の未集金の取り扱い

健康診断等の収入計上時期

自賠責保険収入の計上時期

医業収入以外の収入の取り扱い

休日診療による手当の取り扱い

保険請求の収入計上時期の具体例

例1:通常の保険診療
診療実施日:2024年7月15日
患者さんからの自己負担金受取日:2024年7月15日
保険者への請求日:2024年8月5日
保険者からの入金日:2024年9月10日

この場合、収入計上は2024年7月となります。診療を実施した月に計上し、実際の入金時期は関係ありません。

例2:診療と請求のタイミングのズレ
診療実施日:2024年7月25日
患者さんからの自己負担金受取日:2024年7月25日
保険者への請求日:2024年8月10日(月末締めのため)
保険者からの入金日:2024年10月15日
この場合も、収入計上は2024年7月です。請求や入金のタイミングに関わらず、診療実施月に計上します。

月末の診療と請求のタイミング

月末に診療を実施した場合、請求が翌月以降になることが一般的です。この場合でも、収入計上は診療実施月となります。

診療実施日:2024年7月31日
患者さんからの自己負担金受取日:2024年7月31日
保険者への請求日:2024年8月5日
保険者からの入金日:2024年9月20日

この場合、収入計上は2024年7月です。

返戻・減額があった場合の処理

保険請求後に、以下のような理由で返戻や減額が生じることがあります。

・請求内容の誤り
・施設基準を満たしていない診療行為
・保険者による査定

この場合、返戻・減額が確定した月に、収入を減額する必要があります。
例:7月に診療実施、8月に請求、9月に返戻が確定した場合、9月に返戻額を収入から減額します。

自費診療との区別

自費診療の場合、患者さんから現金を受け取った時点で収入計上します。保険診療とは異なり、発生主義ではなく現金主義に近い処理となります。
ただし、自費診療でも診療実施日と現金受取日が異なる場合は、診療実施日に収入計上する方が正確です。

決算時の注意点

決算月(通常は3月)に診療実施した保険診療は、その月の収入として計上します。4月以降に入金されても、決算時には計上済みとなります。
決算時には、以下の点を確認しましょう。

・診療実施月と請求月のズレを把握しているか
・返戻:減額が正確に反映されているか
・売上台帳と会計帳簿が一致しているか

税務調査での指摘ポイント

税務調査では、以下の点が指摘されやすいです。

・診療実施月と異なる月に収入計上している
・返戻・減額が反映されていない
・現金受取日に基づいて収入計上している
・請求日に基づいて収入計上している

正確な会計処理を行うことで、税務調査での指摘を回避できます。

医療法人と個人診療所での違い

医療法人と個人診療所では、会計処理に若干の違いがあります。医療法人は法人税法に基づき、個人診療所は所得税法に基づきます。しかし、保険請求の収入計上時期については、基本的に同じ発生主義に基づきます。

まとめ

保険請求の収入計上時期は、診療実施月が原則です。患者さんからの現金受取日、保険者への請求日、保険者からの入金日に関わらず、診療を実施した月に収入として計上します。
正確な会計処理は、決算書の信頼性を高め、税務調査での指摘を回避するために不可欠です。月ごとの診療実績と請求状況を正確に把握し、会計処理に反映させることをお勧めします。

保険請求の収入計上時期は、多くの歯科医院で誤解されている項目です。発生主義に基づいた正確な処理を心がけることで、決算書の信頼性が大きく向上します。
税理士と定期的に相談し、会計処理を確認することをお勧めします。

ページトップに戻る